令和元年度(再試験) 問1

アルコールの酸化反応に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 第一級アルコールをpyridinium chlorochromate(PCC)により酸化するとカルボン酸ではなく、アルデヒドで反応を止めることができる。
  2. 第三級アルコールは通常、ほとんどの酸化剤と反応しない。
  3. 第二級アルコールは容易に酸化されてケトンを与える。大規模の酸化には希酢酸中のNa2Cr2O7のような安価な試薬が用いられる。
  4. 実験室で第一級アルコールからアルデヒドを合成するのに最近よく用いられるのは6価のヨウ素(VI)を含むDess-Martinペルヨージナンをジクロロメタン中で用いるものである。
  5. 酸性溶液中の三酸化クロムCrO3を使って第一級アルコールを酸化すると最終生成物としてカルボン酸が生成する。

解答解説

正答は4番です。

Dess-Martinペルヨージナン(DMP)は温和な酸化剤であり、第一級アルコールをアルデヒドに酸化するのによく用いられますが、これは6価のヨウ素ではなく、5価のヨウ素を含む化合物です

1番はPCCから生成する三酸化クロムが酸化剤として機能しています。

2番について、第一級アルコールはアルデヒドやカルボン酸に、第二級アルコールはケトンに酸化します。

5番の三酸化クロムは無水クロム酸とも呼ばれ、強力な酸化剤です。そのためアルコールからアルデヒドで止められずカルボン酸に酸化されます。

参考資料

アルコールからアルデヒドへの酸化反応6選
アルコールからアルデヒドへの酸化反応

dropchem.com

https://www1.meijo-u.ac.jp/~tnagata/education/ochem1/2021/ochem1_12.pdf
アルコール・エーテルの反応

www1.meijo-u.ac.jp

デス・マーチン酸化 Dess-Martin Oxidation | Chem-Station (ケムステ)
デス・マーチン酸化 Dess-Martin Oxidation

www.chem-station.com

2024年3月10日 広告

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