平成29年度 問30

 15wt%の食塩水の1気圧における沸点について、最も近い温度はどれか。
 ただし、食塩は水溶液中で100%解離するものとし、イオン化されたNa及びClは非揮発性とする。

  NaCl→Na++Cl-

 また、水の気液平衡係数KH2Oは次式で表されるとする。ここで、p*H2Oは水の蒸気圧、Pは全圧とする。

  KH2O=p*H2O / P

 NaCl及びH2Oの分子量はそれぞれ、58.5、18.0とする。また、水の蒸気圧は以下を参照のこと。

温度(℃)100101102103104105106
蒸気圧(MPa)0.10000.10360.10740.11120.11520.11920.1234
  1. 101℃
  2. 102℃
  3. 103℃
  4. 104℃
  5. 105℃

解答解説

正答は3番です。

15wt%の食塩水を100g用意したとすると、塩化ナトリウムが15g、水が85g含まれています。よって、塩化ナトリウムが15/58.5=0.256 mol、水が85/18=4.72 molとなります。

食塩は水溶液中で100%乖離するとされていますので、Na+とCl-が存在します。そのため塩化ナトリウム0.256 molでは0.256 × 2=0.512 molのイオンが存在することとなります。このイオンが存在する分だけ水分子の蒸発を妨げます。水の濃度は4.72 / (4.72+0.512)=0.902です。

水の気液平衡係数KH2Oは液体から気体への状態変化に対する平衡定数ですので、KH2O=[H2O(g):気相中の水の濃度] / [H2O(l):液相中の水の濃度]=1.000 / 0.902=1.11です。塩化ナトリウムは蒸発しないことから、気相中の水の濃度は1.000とみなすことが出来ます。

問題よりKH2O=p*H2O / Pを用います。
KH2O=p*H2O / P
p*H2O=P × KH2O
p*H2O=0.1 × 1.11
p*H2O=0.111 MPa

よって最も近い値は0.1112 MPaの蒸気圧で103℃です。

2024年3月10日 広告

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