平成27年度 問20

次の記述の、【 】に入る語句の組合せとして最も適切なものはどれか。

 鎖状高分子の化学構造は重合時に一義的に決まる。重合時に決まるこの構造を【 ア 】という。炭素-炭素結合でできたビニルポリマーの主鎖の繰り返し単位は
  -CH2-C*HR-
で表される。ここで、C*は不斉炭素であり、Rは置換基を表す。高分子鎖を引き延ばした平面ジグザグ構造を考えたとき。この平面より置換基Rが上に出る場合をd体、下に出る場合をl体と定義する。隣り合う2個の繰返し単位の【 ア 】が同じ、すなわち、dd及びllを【 イ 】。異なるdl及びldを【 ウ 】と呼ぶ。高分子鎖全体にわたって【 イ 】が続くものを【 エ 】と呼び、【 ウ 】が続くものを【 オ 】と呼ぶ。これらは立体規則性高分子の一例である。

選択肢
1立体配置ラセモメソシンジオタクチックイソタクチック
2立体配置メソラセモイソタクチックシンジオタクチック
3立体配置メソラセモシンジオタクチックイソタクチック
4立体配座ラセモメソイソタクチックシンジオタクチック
5立体配座メソラセモシンジオタクチックイソタクチック

解答解説

正答は2番です。

例えばポリプロピレンの主鎖を平面ジグザグ構造で考えると、メチル基の配置によって3種類の立体構造が可能です。

  • イソタクチック(アイソタクチック):メチル基がすべて同じ側に配置
  • シンジオタクチック:メチル基が交互に逆側に配置
  • アタクチック:メチル基の配列に規則性がない

隣接する2つの繰り返し単位の立体配置が同じ(dd または ll)である状態はメソ(イ)、異なる(dl または ld)場合はラセモ(ウ)と呼ばれます。

チーグラー・ナッタ触媒は、高度に立体規則性の高いアイソタクチックポリプロピレンを初めて合成することを可能にしました。

チーグラー・ナッタ触媒の後に開発されたメタロセン触媒は、均一系触媒として知られています。この触媒は、オレフィン類の重合および共重合において、分子量分布や分岐の制御を可能にしました。メタロセン触媒の特徴として、高活性、得られるポリマーの分子量分布が狭いこと、さらに立体規則性(アイソタクチックやシンジオタクチック)の制御が可能であることが挙げられます

メタロセン触媒の助触媒としてメチルアルミノキサンを利用した触媒はカミンスキー触媒と呼ばれます。

参考資料

高分子の立体規則性  |  ひつじの高分子化学ラボ
高分子の立体規則性

chem-labo.com

https://www.shokubai.org/senior/News83.pdf
メタロセン重合触媒

www.shokubai.org

2024年3月10日 広告

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