圧縮空気供給装置の付属設備として図に示す容量V m3のバッファータンクがある。この圧縮空気供給装置は、バッファータンクに2 m3 min-1(標準状態)の空気を293 K、0.9 MPaで連続供給することができる。この圧縮空気を4 m3 min-1(標準状態)で5分間使用した場合、使用終了時にはタンク内の圧力が0.9 MPaから0.7 MPaまで低下する。本設備のバッファータンクの容量Vとして最も近い値はどれか。
ただし、バッファータンク内の温度は293 K一定とし、標準状態とは温度273 K、1.013×105 Paである。また、空気は理想気体とし、状態方程式PV=nRTに従うものとする。なお、Pは圧力、Vは体積、nはモル数、Tは絶対温度を示す。気体定数Rは8.314 J mol-1K-1=8.314×10-3 m3 MPa kmol-1 K-1とする。
- 5.5 m3
- 6 m3
- 6.5 m3
- 7 m3
- 7.5 m3
解答解説
正答は1番です。
注意点として、供給空気量や使用空気量は標準状態換算で表記されていることです。直接、理想気体の状態方程式で解くことはできません。まずは供給空気および使用空気のモル数を計算します。
5分間で使用した供給空気量は2 × 5=10 m3(標準状態)、使用空気量は4 × 5=20 m3(標準状態)です。気体定数の単位に気を付けて各モル数を求めます。
供給空気量:n=PV/RT=(1.013×105 × 10) / (8.314×10-3×106 × 273)=446 mol
使用空気量:n=PV/RT=(1.013×105 × 20) / (8.314×10-3×106 × 273)=892 mol
よってタンク内で減少した空気のモル数は892-446=446 molです。
気体定数R、タンクの体積Vは一定、タンク内の温度は問題文より293Kで一定であることから、物質量nと圧力Pは比例関係にあることが分かります。
P/n=RT/V=一定
初期状態(添え字1)と最終状態(添え字2)でP/nの値を比較します。また初期状態と最終状態との物質量差をΔnとします。
P1/n1=P2/n2
0.9/n1=0.7/(n1-Δn)
0.9/n1=0.7/(n1-446)
n1=2.007 kmol
初期状態の値を使ってバッファータンクの体積を求めます。
V=nRT/P=(2.007 × 8.314×10-3 × 293) / 0.9=5.43 m3
よって最も近い値は5.5 m3です。