反応物濃度をCとしたとき、反応速度がdC/dt=-kC(k:反応速度定数、t:時間)で示される反応において、その反応物の溶液が入った回分反応槽で、30分間の反応によって、その50%が反応した。この反応物の最終反応率を99%としたとき1回の操作にかかる時間、すなわち1サイクルの時間として最も近い値はどれか。
ただし、回分反応槽への原料仕込み、及び製品の取出しに合計1時間要するものとする。
なお、log2=0.693、log100=4.605とする。
- 3.0時間
- 3.5時間
- 4.0時間
- 4.5時間
- 5.0時間
解答解説
正答は4番です。
反応速度式dC/dt=-kCは微分方程式であるため分離変数法で分解します。
まず変数Cとtで分けるためdC/C=-kdtの形に変形します。
Cの関数として左辺を、tの関数として右辺をそれぞれ積分します。
∫(1/C)dC=∫−kdt
log|C|=-kt+定数
初期条件、t=0の時の濃度を C0とすると、log|C0|=-k × 0 + 定数となり、log|C0|=定数が成り立ちます。この式を元の積分後の式に代入します。
log|C|=-kt+log|C0|
log|C/C0|=-kt
C/C0は分子が反応後の原料濃度、分母が反応前の原料濃度ですので、残存率とみなすことが出来ます。ln(C/C0)=-ktを用いて、30分間の反応によって50%反応した時を考えます。
log|1-0.5|=-0.5k
-log(0.5)/0.5=k
反応速度定数kが求まりましたので、99%反応した時の反応時間を考えます。
log(1-0.99)=-{-log(0.5)/0.5}t
log(0.01)=log(0.5)/0.5 × t
log(100-1)=log(2-1)/0.5 × t
-log100=-log2 × t/0.5
t=0.5 × (-4.605) / (-0.693)
t=3.32 時間
「回分反応槽への原料仕込み、及び製品の取出しに合計1時間要する」と記載されていますので、1サイクルの時間は3.32+1.00=4.32時間です。最も近い値は4.5時間です。