蒸留の原理
まずは蒸留の原理を解説します。
目的
蒸留は2つ以上の成分からなる液体を分離する操作です。
そのため特定成分の純度を上げて取り出すことが目的です。
この時、各成分における蒸発のしやすさの違いを利用しています。
蒸留の流れ
蒸留を行う際には、まず混合物を加熱して蒸発させます。
このとき、それぞれの成分の蒸気圧が高いものほど、より多く蒸発します。
蒸発した混合気は、冷却器で冷却されて液体に戻されます。

蒸留工程の工業化
ラボスケールの蒸留を工業化する考え方を順に紹介します。
最終的には蒸留塔を用いる考え方にたどり着きます。
単純なスケールアップ
一番簡単なのは使用する液量に合わせて実験装置をスケールアップすることです。
ただしラボと実機のスケール差があればあるほど加熱効率は悪くなってしまいます。
製品の品質も安定しないためオススメできません。

複数の蒸留工程を経由する
複数の蒸留設備を直列に接続し、分離した蒸気や残渣を再度それぞれ蒸留しなおします。
純度が上がった液を更に蒸留するため、一段と純度の上がった液を取り出すことができます。
製品の品質が上がったものの、これでは加熱冷却設備が大量に必要なため採算が取れません。
更にそれらを制御するためオペレータの負担も増加します。

蒸留塔
一般に、蒸留設備を複数直列に接続する形式を簡略化した"蒸留塔"が使われます。
内部は隙間が空いた複数の板で仕切られ、各段が蒸留設備1つ分に当たります。
蒸気は上部へ、液は下部へ流れることで熱交換と蒸発・凝縮を繰り返しながら純度の高い成分へと変化していきます。
つまり、一本の蒸留塔で蒸留するだけで、複数の蒸留塔で蒸留したような成果が得られます。


オススメ書籍
蒸留を勉強するときに最初に読んでおきたい本です。
国内の蒸留研究で有名な大江先生が書かれています。
慣れてきたらこちらの本でステップアップします。