我が国では石油からベンゼン、トルエンなどの芳香族が製造される。工業的な芳香族製造に関する次の記述の、 【 】に入る部分の組合せとして、最も適切なものはどれか。
石油から工業的に芳香族を製造するには、分解系と改質系の2つの原料がある。分解とは熱分解のことで、【 A 】を750~850℃の高温で分解しオレフィンを得るプロセスである。分解系はこのとき副生する、芳香族化合物を多く含む分解ガソリンを原料とする。
改質とはガソリンの【 B 】を向上させるという意味である。接触改質法は、白金又は白金レニウム二元触媒存在下で、パラフィンを【 C 】及び環化、ナフテンを【 C 】することで、芳香族を多く含む改質ガソリン(リフォーメート)を得るプロセスである。改質系はこの改質ガソリンを原料とする。
これらの原料から芳香族を取り出すには、【 D 】による溶剤抽出法が広く用いられている。塔で原料と【 D 】を向流接触させると、芳香族が【 D 】に抽出される。【 D 】と芳香族を分離した後、芳香族混合物から【 E 】により、ベンゼン、トルエンなどをそれぞれ分離し製品とする。
選択肢 | A | B | C | D | E |
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1 | ナフサ | オクタン価 | 水素化 | スルフォラン | 蒸留 |
2 | ナフサ | 品質 | 水素化 | 四塩化炭素 | 蒸留 |
3 | ナフサ | オクタン価 | 脱水素 | スルフォラン | 蒸留 |
4 | 重油 | 品質 | 脱水素 | 四塩化炭素 | クロマトグラフィー |
5 | 重油 | オクタン価 | 脱水素 | スルフォラン | クロマトグラフィー |
解答解説
正答は3番です。
石油化学工業では、まずナフサを熱分解することから始まります。
常圧蒸留装置や接触分解装置から得られたLPGはアルキレーション装置でオクタン価が高められます。パラフィン系炭化水素(イソブタンなど)と、オレフィン系炭化水素(プロピレンやブチレンなど)との反応により、高オクタン価のイソパラフィンを得ます。高温高圧無触媒で製造するプロセスもありますが、商業的には硫酸やフッ化水素等の酸を触媒として用いる接触アルキル化プロセスが広く普及しています。
脱硫処理された”重質”ナフサは接触改質装置でオクタン価を高め芳香族主体のガソリン基材に改質(リフォーミング)します。そのため接触改質プロセスはベンゼン・トルエン・キシレン(BTX)製造プロセスにもなっています。シクロパラフィンの脱水素化や、パラフィンの環化脱水素化、異性化などにより、主に芳香族と水素が得られます。この時に得られる水素は他工程での水素供給源となります。
溶剤抽出法は成分の極性差を利用した抽出操作による分離法です。
参考資料
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石油精製技術と石油需給動向 ~現状と今後の見通し~
oilgas-info.jogmec.go.jp
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製油所精製工程の概要
www.eneos.co.jp
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アルキレーション
oilgas-info.jogmec.go.jp
-
石油系分解油に含まれる芳香族炭化水素の溶媒抽出プロセス
t2r2.star.titech.ac.jp