Markovnikov則に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- Markovnikov付加は位置選択的である。
- アルケンにオキシ水銀化-脱水銀によってアルコールを合成する反応は2段階で生じ、Markovnikov則に従う。
- Markovnikov則とは、アルケンにハロゲン化水素HXが付加するとき、水素はより多くの水素を持つ炭素原子に付加するという規則である。
- アルケンへの酸触媒水和は、Markovnikov則に従うので、エテンの水和のような特別な場合を除いて、第一級アルコールを得ることはできない。
- アルケンへの酸触媒水和反応は、一段階の反応機構で進行する。
解答解説
正答は5番です。
アルケンへの酸触媒水和反応は、一段階ではなく多段階の反応機構で進行します。反応の第一段階で、酸触媒(プロトン)がアルケンに付加します。その後、水分子が反応中間体に攻撃し、最終的にアルコールが生成されます。
カルボカチオンは水素置換数の少ない(級数の大きい)炭素原子ほど超共役効果によって安定化されます。これがマルコフニコフ則です。そしてマルコフニコフ付加は第3級>2級>1級炭素の順に反応が起こりやすいことを意味します。
水和反応にはいくつか種類があり、反応の仕方によって付加位置が変わります。
- 酸触媒水和:マルコフニコフ付加
- ヒドロホウ素化:アンチマルコフニコフ付加
- オキシ水銀化:マルコフニコフ付加
参考資料
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アルケンの反応 オキシ水銀化 ヒドロホウ素化
w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp
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Markovnikov(マルコフニコフ)則の話
orgchemical.seesaa.net