令和5年度 問35

酵素は生体内において触媒として働く。酵素Eと基質Sが反応して酵素-基質複合体ESを作り。ESから生成物Pが生じると共に、Eは元に戻る。

この反応が定常状態であるとき、Pの生成速度rは、次の式で表される。

ただし、

Csは基質の濃度、CEは酵素の濃度、CESは酵素一基質複合体ESの濃度である。ここで、Csを増やした場合のrの最大値として適切なものはどれか。

  1. Vm / Km
  2. Vm / Cs
  3. VmCs
  4. Vm
  5. Cs / Km

解答解説

正答は4番です。

Pの生成速度rを求める式はミカエリス・メンテンの式と呼ばれます。この式を変形することで問題は考えられます。まず元の式を記載します。

$$ r=\frac{ V_{m} C_{s} }{ ( K_{m} + C_{s} ) }$$

この式の逆数を取ります。

$$ \frac{1}{r}=\frac{ ( K_{m} + C_{s} ) }{ V_{m} C_{s} }$$

KmとCsそれぞれに対する分数を取る形で更に変形します。

$$ \frac{1}{r}=\frac{ K_{m} }{ V_{m} } \times \frac{ 1 }{ C_{s} } + \frac{ 1 }{ V_{m} }$$

この変形により1/Csと1/rに関する一次式が得られます。傾きがKm/Vm、切片が1/Vmです。

問題にあるようにCsを増やした場合を考えると、1/Csはゼロに収束します。この時の1/r=1/Vm、つまりrの最大値はVmです。

参考資料

酵素触媒反応の生成速度を考える―ミカエリス・メンテン機構― | Chem-Station (ケムステ)
酵素触媒反応の生成速度を考える―ミカエリス・メンテン機構―

www.chem-station.com

2024年3月11日 広告

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