令和3年度 問15

下図は、結晶化度0%のポリエチレンテレフタレート(PET)を室温から280℃まで、一定速度で昇温させた場合の示差走査熱量(DSC)測定結果である。これに関する次の記述の、【 】に入る語句の組合せとして、最も適切なものはどれか。ここで、図中のA~Dは設問中のA~Dに対応する。

まず、【 A 】状態のPETを室温から昇温していき、試料の温度が【 B 】に到達すると、高分子の分子運動が増大し、【 A 】状態から過冷却液体状態に変化した。さらに昇温を続けると、発熱ピークが出現した。これは、【 C 】に起因する。その後、ある温度に到達すると【 D 】による吸熱ピークが出現し、エンタルピーが急激に増加した。

選択肢ABCD
1非晶結晶化温度ガラス転移融解
2非晶結晶化温度融解分解
3ガラスガラス転移点結晶化分解
4結晶融点ガラス転移融解
5ガラスガラス転移点結晶化融解

解答解説

正答は5番です。

Aの状態はガラス状態です。結晶化度0%のPETは非晶質(アモルファス)で、室温ではガラス状態にあります。

Bのガラス転移点に到達すると、分子運動が増大し、ガラス状態から過冷却液体状態に変化します。

Cの発熱ピークは結晶化によるものです。非晶質のPETが熱を得て分子が再配列し、結晶構造を形成する過程で熱を放出します。

Dの吸熱ピークは融解によるものです。形成された結晶が融けるときに熱を吸収します。

参考資料

示差走査熱量計(DSC)の原理と応用 | JAIMA 一般社団法人 日本分析機器工業会
示差走査熱量計(DSC)の原理と応用

www.jaima.or.jp

2024年3月11日 広告

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