令和元年度(再試験) 問33

水100 molに成分A 20 molを溶解した水溶液に、純粋なトルエン100 molを加え、容器の中で撹拌し、静置したところ、2液相に分離した。上層の成分Aの量として、最も近い値はどれか。相互溶解度は非常に小さいので、相互溶解度をゼロとして算出してよい。液液平衡のデータを下表に示す。

  1. 13.5 mol
  2. 10 mol
  3. 8 mol
  4. 6.5 mol
  5. 4.5 mol

解答解説

正答は5番です。

水の比重よりトルエンの比重の方が小さいことから、上層がトルエン、下層が水となります。

今回、成分A濃度の異なる液液平衡データが2種類与えられています。それぞれで分配係数を計算してみます。希薄溶液であり、抽出により分子が変化しない場合は分配係数が同じになります。
1行目:2.6 / 7.8=1/3
2行目:5.0 / 15.0=1/3

分配係数が1/3ですので、各層におけるAのモル分率xwaterとytolから立式します。上層であるトルエン相の成分Aの物質量はnAとします。使用する成分Aは20 molですので、水相側の成分Aの物質量は(20-nA)です。

xwater=(20-nA) / {100+(20-nA)}
ytol=nA / (100+nA)

上記式からytol=1/3 xwaterを立式してnAを求めます。

nA / (100+nA)=1/3 × (20-nA) / {100+(20-nA)}
nA2 - 220nA+1000=0

根の公式(解の公式)よりnA=110±10√(111)です。√(111)≒10.54とすると、110 ± 10 × 10.54=4.6もしくは215.4 molとなります。使用している成分Aは20 molですので、必ず20 mol以下になります。

よって最も近いのは4.5 molです。

ちなみに、分配係数から大まかに物質量を求めることも可能です。どこまで詳細に計算するのかは選択肢に応じて決めてください。
nA / (20-nA)=1/3
nA=4.96 mol

2024年3月10日 広告

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