無機結晶物質の欠陥における次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 空孔は点欠陥である。
- 転位は線欠陥である。
- 結晶粒界は面欠陥である。
- 結晶中に生成した陰イオン空孔と陽イオンの対はショットキー欠陥である。
- 結晶中に生成した格子間イオンと空孔の対はフレンケル欠陥である。
解答解説
正答は4番です。
4番のショットキー欠陥は「格陰イオン空孔と陽イオンの対」ではなく「陰イオン空孔と陽イオン空孔の対」であり誤りです。
原子や分子が並んだ結晶には、部分的に原子が不足したり余計な原子が侵入していたりする場合があります。これを格子欠陥と呼びます。欠陥の位置や範囲によって様々な分類がされています。
- 点欠陥
- 侵入型欠陥:格子点ではないところに原子が入り込む欠陥
- 置換型欠陥:原子が別の原子に置き換わっている欠陥
- 空孔による欠陥
- フレンケル欠陥:原子が抜けて格子点ではない隙間に入り込み空孔ができる欠陥
- ショットキー欠陥:原子が抜けて結晶表面に移動し空孔ができる欠陥
- 線欠陥
- 転位による欠陥:結晶格子の原子配列のずれが線状になった欠陥
- 面欠陥
- 積層欠陥:結晶面の重なり順序が乱れた欠陥
- 結晶粒界:結晶の規則的な配列が途切れている欠陥
参考資料
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格子欠陥(lattice defect)
www.osakac.ac.jp
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格子欠陥の熱力学:点欠陥
www.mech.kagoshima-u.ac.jp
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結晶中の欠陥
www.omu.ac.jp