石油製品の灯油に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 灯油は、炭素数11~13を中心とする炭化水素成分で構成されている。
- 灯油の引火点は40℃以下である。このため引火の危険性が少なく、取り扱いが容易 である。
- 灯油の燃焼性は煙点で評価される。煙点は蝶が出ない灯芯の長さを示し、煙点の値は 小さいことが望ましい。
- 燃料電池用に供する灯油の硫黄分は、0.0010質量分率%以下に規定されている。
- 灯油は冬が最需要期で、夏は備蓄期となるため、備蓄期間中の貯蔵安定性の良いこと が必要である。
解答解説
正答は3番です。
灯油の燃焼性は煙点(えんてん)で評価されます。煙点は煤(すす)が出ない灯芯の長さを示し、煙点の値は大きいことが望ましいです。煙点はパラフィン系炭化水素が多いほど大きく、芳香族炭化水素が多いほど、また重質留分が多いほど小さくなります。
灯油は、炭素数9~15程度の炭化水素からなり、安全性の面から引火点が40℃以上に規格されています。
4番の燃料電池用に供する灯油の硫黄分はJIS K 2203にて規定されています。燃料電池は、水素(燃料)と空気中の酸素から電気エネルギーを取り出す電池です。灯油から水素を得る際に、改質やCO変性の工程で用いる触媒が硫黄の影響で劣化(被毒)するのを抑えるために低硫黄分の灯油が求められます。
参考資料
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ENEOS 石油便覧 第2編第1章第4節 灯油
www.eneos.co.jp
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石油豆知識[燃料]
sekiyu-gakkai.or.jp
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潤滑油 用語集 煙点
www.nishimura-oil.co.jp
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出光における灯油型燃料電池の開発状況
hess01.sakura.ne.jp