芳香族性次の5つの化学種には芳香族性を示すものがある。芳香族性を示す化学種の数として、最も適切なものはどれか。
- 1個
- 2個
- 3個
- 4個
- 5個
解答解説
正答は4番です。
芳香族性を持つための条件は4つあります。
- 環状構造である
- 完全共役している
- 平面構造をとる
- 一つの環状に (4n+2)個のπ電子を含む(Hückel則)
A~Cを満たしていない化合物は「非芳香族化合物」、Dだけ満たしていない化合物は「反芳香族化合物」と呼ばれます。
左から1番目のシクロブタジエンはπ電子を4つ持っておりDの条件を満たしていないため反芳香族化合物です。
2番目のシクロペンタジエニルアニオンは芳香族化合物です。環内にあるC-原子の孤立電子対を用いてDの条件を満たしています。
3番目のピロールは芳香族化合物です。環内にある窒素原子の孤立電子対を用いてDの条件を満たしています。
4番目のピリジンは芳香族化合物です。環内に6個のπ電子を持つことからDの条件を満たしています。ピロールとは異なり、窒素の孤立電子対は芳香族性に寄与していません。
5番目のシクロへプタトリエニルカチオンは芳香族化合物です。7通りの極限構造式が共鳴したものであり、それぞれの炭素は1価の陽電荷を分け合い非局在化させています。Bの条件を満たしています。
参考資料
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有機反応化学 第10回 芳香族化合物
www.chem.s.u-tokyo.ac.jp