溶融塩電解に関する次の記述の【 】に入る語句の組合せとして、最も適切なものはどれか。
イオン結晶からなる金属塩を加熱溶融すると、粘度が低く導電率の高いイオンの動きやすい液体になる。適当な電極を用い電圧を加えると、イオンの移動によって電気が流れ、両極で電気化学反応が起こって金属が水溶液電解の場合と同様に析出してくる。これを利用して水溶液から電解析出させることのできない【 A 】などの金属や、【 B 】しにくい金属を電解採取したり、あるいは電解精製する製錬法を溶融塩電解という。
溶融塩電解を行ったとき各電極で発生又は析出する物質の量は、水溶液の場合と同じようにファラデーの【 C 】の法則が成り立つ。例えば、塩化マグネシウムの溶融塩を単極で電気分解する場合、電流1,000 Aを1時間流したとき電流効率が80%なら約【 D 】gのマグネシウムと約【 E 】gの塩素が得られる。(マグネシウムの原子量は24.3、塩素の原子量は35.5、ファラデー定数は9.65×104 C/molとする。)
選択肢 | A | B | C | D | E |
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1 | ナトリウム | 水素あるいは炭素で還元 | 電磁誘導 | 360 | 530 |
2 | アルミニウム | 水素あるいは炭素で還元 | 電気分解 | 720 | 1,060 |
3 | アルミニウム | 酸素あるいは水で酸化 | 電気分解 | 720 | 2,120 |
4 | ナトリウム | 水素あるいは炭素で還元 | 電気分解 | 360 | 1,060 |
5 | 亜鉛 | 酸素あるいは水で酸化 | 電磁誘導 | 180 | 180 |
解答解説
正答は4番です。
アルカリ金属(例:ナトリウム、カリウム)やアルカリ土類金属(例:マグネシウム)は、水溶液中で電気分解すると水が先に反応してしまうため、結晶を加熱融解して行う溶融塩電解が適しています(A)。
アルミニウムなどの金属は、通常の還元法(水素還元や炭素還元)では還元が困難です。アルミニウムの場合、酸化アルミニウム(アルミナ)を氷晶石と混合して溶融し、電解還元によって金属アルミニウムを得ます(B)。
ファラデーの法則は電気分解に関する法則であり、溶融塩電解にも適用されます(C)。ファラデー定数の単位で用いられているCは電子1mol当たりの電気量であり単位クーロンです。電気量[C]=電流[A]×時間[s]で計算できます。
電流1,000 Aを1時間流したとき、1時間は3,600秒ですので電気量は1,000A×3,600s=3.6×106 Cです。電流効率80%を考慮すると3.6×106 × 0.8=2.88×106 Cです。
ファラデー定数を用いて電気分解で使われる電子のモル数を求めます。2.88×106 C / 9.65×104 C/mol=29.8 molとなります。ここで重要なのが電子のモル数ということです。
マグネシウムと塩素の生成量を計算します。各極の反応は以下の通りです。
陰極側:Mg2+ + 2e- → Mg
陽極側:2Cl- → Cl2 + 2e-
1molの電子から0.5molのマグネシウムと塩素が得られる計算となります。
マグネシウム:24.3 × 29.8 mol × 0.5=362.07 g
塩素:(35.5×2) × 29.8 mol × 0.5=1057.9 g
参考資料
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5分でわかる!アルカリ金属の単体の製法
www.try-it.jp
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融解塩電解(溶融塩電解)(ナトリウムNa、アルミニウムAlの精錬)
examist.jp
-
5分でわかる!ファラデーの法則とは
www.try-it.jp