多くのセラミックスは、原料粉末粒子の成形体を大気圧下で加熱する常圧焼結によって製造される。常圧焼結に関する次の記述のうち、不適切なものの組合せはどれか。
- 一般に酸化物粉体は、誘電率の低い非極性溶媒中で分散しやすい。
- 分散剤や粒子の表面電位を利用することで、微小粒子の凝集を防ぐことができる。
- プレス成型のような乾式成形では、一般に分散剤やバインダーは不要である。
- 成形体のバインダー除去が不十分だと焼結に悪影響がある。
- 焼結とは粒子表面や粒子界面の面積を減らすように物質が移動する現象である。
- 高温で高い蒸気圧を持つ酸化物粉体は、緻密化しやすい。
- 焼結体内部の気孔を減らし、粒径を制御することで、多くのセラミックスは透光性を示す。
選択肢
- A、C、F
- A、D、F
- B、D、G
- B、E、G
- C、E、F
解答解説
正答は1番です。
焼結とは、粉末や圧縮成形した圧粉体を融点以下の温度で加熱し緻密化させるプロセスです。焼成とも呼ばれます。焼結に伴い粒子表面や粒子界面の面積を減らすように物質が移動しています(E)。各素材を混ぜ合わせ、プレス機などで押し固め、成形し、融点以下の温度で加熱するプロセスで製造されます。
焼結には真空や大気、不活性ガス下で行う常圧焼結と加圧しながら行う加圧焼結に分けられます。加圧することで難焼結性の材料でも焼結できたり、より緻密な焼結体を得ることが出来ます。
成形前に複数の原料粉末を均一に混合させる工程が必要です。均一化を図るために通常は溶媒に分散させます。酸化物粉体には極性があるため、極性溶媒の方が親和性があり分散しやすい特徴があります(A)。分散性を高めるために分散剤を加える場合もあります(B)。
プレス成型において分散剤やバインダーを混ぜて行われます(C)。これらは粉末の結束力を高め、成形体の強度を向上させるために使用されます。ただし成形体のバインダー除去が不十分だと焼結に悪影響を与えてしまいます(D)。また高温で高い蒸気圧を持つ酸化物粉体は、高い蒸気圧により焼結中に粒子が蒸発しやすくなるため緻密化が困難です(F)。焼結体に気孔が出来てしまうと光の散乱の原因となり透光性が下がってしまいます(G)。
参考資料
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焼結の基礎知識
www.ihi.co.jp
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焼結の基礎-理論的背景から実際まで-
www.jim.or.jp