合成燃料であるジメチルエーテル(CH3OCH3)には、次式に示すようにメタノール(CH3OH)を脱水して製造する方法がある。
2CH3OH(l)→ CH3OCH3(g)+H2O(l)
ΔH=x kJ/mol-CH3OCH3(g)
ここで用いる反応熱(ΔH)は、発熱はマイナス、吸熱はプラスで表記する。また、(g)、(l)はそれぞれ気体状態並びに液体状態を表す。
この反応熱(ΔH)の値を標準生成エンタルピー及び標準燃焼エンタルピーを用いて計算し、反応熱に最も近い値を示すものは1~5のうちどれか。
ただし、標準生成エンタルピーは、
二酸化炭素(g):-393.5 kJ/mol
水(l):-285.8 kJ/mol
メタノール(l):-238.6 kJ/molであり、
標準燃焼エンタルピーは、
ジメチルエーテル(g):-1,460.3kJ/molである。
- 7 kJ/mol
- 375 kJ/mol
- 945 kJ/mol
- -177 kJ/mol
- -231 kJ/mol
解答解説
正答は1番です。
ジメチルエーテル(CH3OCH3)の標準生成エンタルピーが与えられていないため、標準燃焼エンタルピーを使用して計算する必要があります。燃焼反応のエンタルピー変化(ΔH)を計算する際は、生成物の標準生成エンタルピーの和から反応物の標準生成エンタルピーの和を引きます。
酸素(O2)は単体元素であり最も安定な形態であるとみなし、標準状態での単体元素の標準生成エンタルピーは定義上0 kJ/molとされています。
ジメチルエーテルの燃焼反応式はCH3OCH3(g) + 3O2(g) → 2CO2(g) + 3H2O(l)です。ジメチルエーテルの標準燃焼エンタルピー、生成物(二酸化炭素と水)の標準生成エンタルピーが既に与えられています。ジメチルエーテル(CH3OCH3)の標準生成エンタルピーをXとすると、-1,460.3={(-393.5 × 2)+(-285.8 × 3)} - Xと立式できます。X=-184.1 kJ/molです。
同様に、メタノール脱水の式に適用して計算します。-184.1 + (-285.8) - (-238.6 × 2)=7 kJ/molとなります。値がプラスなため吸熱反応です。