石油精製で利用される改質装置(リフォーマー)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 重質ナフサを原料として、触媒反応により高オクタン価の改質ガソリン(リフォーメート)が得られる。
- 基礎化学原料となるベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族製造装置としての位置づけを有する。
- 改質触媒として白金の他にレニウムなどの第二の金属を併用したバイメタル触媒が主に使用されている。
- 反応温度を上げると、芳香族分が増加し、オクタン価は高くなり、ガソリンの収率も高くなるが、触媒表面のコーク析出量が増加し、触媒寿命が短くなる。
- 反応圧力を下げると、ガソリンの収率は高くなり、オクタン価も向上するが、触媒表面にコークが付着しやすくなり、触媒寿命が短くなる。
解答解説
正答は4番です。
石油精製は、原油(粗油)から様々な石油製品を分離・精製する工程のことを指します。その際に行われるのが蒸留、水素化精製、接触分解、接触改質等のプロセスです。
まず原油は常圧蒸留装置でLPG、ナフサ、灯油、軽油、常圧残油などの各留分に分けられます。常圧残油、もしくは軽油と混ぜた石油製品は重油と呼ばれます。
各種留分は水素化精製(水素化脱硫)装置にて、含有する不純物(特に硫黄分)を取り除きます。固体触媒中で高圧水素と反応させることで硫黄、窒素、酸素の不純物がそれぞれ硫化水素、アンモニア、水となって分離されます。この時、炭化水素も反応し、飽和や水素化分解などが起きます。またナフサは、石油化学用原料の「軽質ナフサ」とガソリン基材の「重質ナフサ」に分けられます。
脱硫処理された”重質”ナフサは接触改質装置でオクタン価を高め芳香族主体のガソリン基材に改質(リフォーミング)します。そのため接触改質プロセスはベンゼン・トルエン・キシレン(BTX)製造プロセスにもなっています。シクロパラフィンの脱水素化や、パラフィンの環化脱水素化、異性化などにより、主に芳香族と水素が得られます。この時に得られる水素は他工程での水素供給源となります。
ルシャトリエの原理より、反応温度を高く・反応圧力を低くすると高いオクタン価を得ることができます。一方で触媒上への炭素の析出が促進され、触媒寿命を短くしてしまいます。ただし高温条件では軽質成分の気化が促進される恐れもあり、一概にガソリンの収率が向上するとは言えません。
参考資料
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石油精製技術と石油需給動向 ~現状と今後の見通し~
oilgas-info.jogmec.go.jp
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製油所精製工程の概要
www.eneos.co.jp
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アルキレーション
oilgas-info.jogmec.go.jp
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改質
oilgas-info.jogmec.go.jp