水素に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 質量数の異なる3種の同位体がある。
- 重水素と酸素からできる水を重水という。
- 宇宙でケイ素に次いで存在量の多い元素である。
- パラジウムには多量に吸収される。
- オルト水素とパラ水素の2種類の分子がある。
解答解説
正答は3番です。
水素は宇宙で最も豊富な元素であり、全宇宙の元素のおよそ90%を占めています。対して地球を構成する元素としては、酸素、ケイ素に次いで3番目に多いのが水素です。
1番の水素には、水素:1H、重水素:2H(ジュウテリウム:D)、三重水素:3H(トリチウム:T)の質量数の異なる3種の同位体が存在します。
4番のパラジウムは水素を多量に吸収する性質があり、水素化反応の触媒などに利用されています。
5番のオルト水素とパラ水素の主な違いはいくつかあります。特性の違いは水素分子の核スピン状態に起因しており、化学的性質にはほとんど影響を与えませんが、物理的性質(特に低温での挙動)に大きな影響を及ぼします。
- オルト水素は2つの陽子のスピンが同じ方向(平行)に揃っており、パラ水素は反対方向(反平行)
- パラ水素はオルト水素よりも低いエネルギー状態
- 常温(室温)では、オルト水素:パラ水素 = 約3:1の比率で存在(この状態がノルマル水素)
- 低温になるほどパラ水素の割合が増加し、液体水素の温度(約-253℃)では、ほぼ100%がパラ水素になる
参考資料
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水素化学のフロンティアに触れてみよう
www.nipponsteel.com
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パラジウムによる水素吸収と水素化反応
www.jstage.jst.go.jp
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2種類の水素
klchem.co.jp