平成25年度 問4

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次の記述の、【 】に入る語句の組合せとして最も適切なものはどれか。

 有用なケトンであるシクロヘキサノンは、水素化ホウ素ナトリウムと反応して【 A 】に、また、【 B 】で処理してアジピン酸(ヘキサン二酸)へと容易に変換できる。また、ヒドロキシルアミンとシクロヘキサノンの脱水縮合で得られる【 C 】化合物は、【 D 】転位反応を経由して、ポリアミド6(ナイロン6)の原料である【 E 】を与えることが知られている。

選択肢ABCDE
1シクロヘキサノール二酸化マンガンオキシムBeckmann
(ベックマン)
ε-カプロラクタム
2シクロヘキセノール過マンガン酸カリウムヒドラゾンBeckmann
(ベックマン)
ε-カプロラクトン
3シクロヘキサノール過マンガン酸カリウムオキシムBeckmann
(ベックマン)
ε-カプロラクタム
4シクロヘキセノール過マンガン酸カリウムヒドラゾンClaisen
(クライゼン)
ε-カプロラクトン
5シクロヘキセノール二酸化マンガンヒドラゾンClaisen
(クライゼン)
ε-カプロラクタム



解答解説

正答は3番です。

1番の水素化ホウ素ナトリウムは強力な還元剤です。シクロヘキサノンは還元され、シクロヘキサノールになります。

2番の選択肢にある過マンガン酸カリウムは強力な酸化剤として知られています。二酸化マンガンは穏やかな酸化剤として使われます。シクロヘキサノンは過マンガン酸カリウムなどの強力な酸化剤によってアジピン酸に酸化されます

3番のヒロドロキシルアミン(NH2OH)とシクロヘキサノンの脱水縮合は、まずヒドロキシルアミンの窒素原子がシクロヘキサノンのカルボニル炭素を求核攻撃します。次に、中間体から水分子が脱離し、C=N二重結合が形成されシクロヘキサノンオキシムが生成します。

シクロヘキサノンオキシムの構造

4番のシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応は、ε-カプロラクタムという重要な環状アミドの合成に用いられる重要な工業的プロセスです。シクロヘキサノンオキシムは酸触媒によるベックマン転位反応を経てオキシム基(C=N-OH)が環状アミドに変換されます

生成物であるε-カプロラクタムは、ナイロン6の原料として知られています(5番)

参考資料

水素化ホウ素ナトリウム Sodium Borohydride | 芹沢薬品株式会社
水素化ホウ素ナトリウム Sodium Borohydride(SBH)

seriyaku.co.jp

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/60/6/60_KJ00008113172/_pdf/-char/ja
アジピン酸の合成

www.jstage.jst.go.jp

【高校化学基礎】「過酸化水素vs過マンガン酸カリウム」 | 映像授業のTry IT (トライイット)
5分でわかる!過酸化水素vs過マンガン酸カリウム

www.try-it.jp

ベックマン転位 Beckmann Rearrangement | Chem-Station (ケムステ)
ベックマン転位 Beckmann Rearrangement

www.chem-station.com

2024年3月10日