平成24年度 問5

糖に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 炭水化物は、自然界に存在するポリヒドロキシカルボニル化合物である。
  2. CHO基を含む単糖はケトースと呼ばれる。
  3. 炭水化物のエノール形は、環状ヘミアセタールと平衡にある。
  4. アセタール基を含む糖はTollens試薬を還元する。
  5. 糖の溶液の実測旋光度がエナンチオマー間の平衡の状態によって変化する。

解答解説

正答は1番です。

2番のCHO基を含む単糖はアルドースであり、ケトースではありません。単糖類は多くの水酸基をもつアルデヒド又はケトンです。ケトン基を含む場合はケトースと呼ばれます。

3番の環状ヘミアセタールと平衡にあるのはアルデヒド形であり、エノール形ではありません。糖のカルボニル炭素に末端のアルコールが付加することで、カルボニル炭素がC=OからC(OR)OH変化したヘミアセタールが得られます。

4番のアセタール基を含む糖は還元性を持たず、Tollens試薬(トレンス試薬)を還元しません。トレンス反応は、銀鏡反応とも呼ばれます。トレンス試薬に含まれる硝酸銀の Ag+ が還元されて、銀の膜が生じることから、アルドースやケトースのような還元性を持つ糖(還元糖)を検出します。

5番の実測旋光度は、アノマー間の平衡の状態によって変化します。糖はヘミアセタール化することで新たに不斉炭素を持ち、その炭素をアノマー炭素と呼び、α-アノマーとβ-アノマーの2種類の異性体が考えられます。多くの糖はα-アノマーとβ-アノマーの間で平衡を保つことがあり、この変化が旋光度の変化に寄与することがあります。この現象は変旋光(ミューテージョン)と呼ばれます。

参考資料

単糖類(分類・構造・性質・二糖や多糖との関係性など) | 化学のグルメ
単糖類(分類・構造・性質・二糖や多糖との関係性など)

kimika.net

糖質の定性および定量試験法  |  薬学まとめました
糖質の定性および定量試験法

yaku-tik.com

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