工業材料として利用されているセラミックスの大半は焼結体として使用されている。焼結法を大きく分けると無加圧焼結法と加圧焼結法に大別される。加圧焼結の一種であるホットプレス焼結の特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 焼結時に型が不可欠なので、焼結体の形状が制限されたり、量産性が劣ることがある。
- 特定方位に粒子が配向するので、結晶異方性を利用して材料特性を高めるのに有利な場合がある。
- 焼結性が高いので、焼結助剤の低減や無添加焼結が可能となり、より純度の高い焼結体が得られる。
- 大きい焼結体を作成する場合、型の強度の確保が問題であるほかに、油圧プレスの大型化も必要となる場合がある。
- 低温で高密度焼結体が得られるが、粒成長は抑制できない。
解答解説
正答は5番です。
ホットプレスは低温で高密度焼結体が得られ、粒成長が抑制される特徴があります。またプレス時は特定方位に粒子が配向することがあり、結晶異方性を利用した材料の製造に使用されることがあります。
焼結とは、粉末や圧縮成形した圧粉体を融点以下の温度で加熱し緻密化させるプロセスです。焼成とも呼ばれます。焼結に伴い粒子表面や粒子界面の面積を減らすように物質が移動しています。各素材を混ぜ合わせ、プレス機などで押し固め、成形し、融点以下の温度で加熱するプロセスで製造されます。
焼結には真空や大気、不活性ガス下で行う常圧焼結と加圧しながら行う加圧焼結に分けられます。加圧することで難焼結性の材料でも焼結できたり、焼結助剤の低減や無添加焼結が可能となり、より不純物の少ない焼結体が得られます。中でも高温で成形体に圧力をかけながら焼結する加圧焼結法をホットプレスと呼びます。
焼結には型が必要です。そのため焼結体の形状が制限されたり、量産性が劣ることがあります。また焼結体を大型にしたい場合は、油圧プレスや金型を大きくし強度を上げることが求められます。
参考資料
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焼結の基礎知識
www.ihi.co.jp
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焼結の基礎-理論的背景から実際まで-
www.jim.or.jp
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速度制御フラッシュ焼結を用いて作製したYSZの機械的特性の評価
www.material.nagoya-u.ac.jp