平成23年度 問17

結晶化度0%のポリエチレンテレフタラート(PET)を室温から280℃まで、一定速度で昇温させた場合の示差走査熱量(DSC)測定結果(下図参照)に関する次の記述の、【 】に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。ここで、図中のA~Eは、設問中のA〜Eに対応する。

まず、【 A 】状態のPETを室温から昇温していき、試料の温度が【 B 】に到達すると、 高分子の分子運動が増大し、【 A 】状態から【 C 】状態へ変化した。さらに昇温を続けると、発熱ピークが出現した。これは【 D 】に起因する。その後、ある温度に到達すると【 E 】による吸熱ピークが出現し、エンタルピーが急激に増加した。

選択肢ABCDE
1ガラスガラス転移点液晶結晶化分解
2非晶結晶化温度液晶一次転移融解
3結晶融点ガラスガラス転移分解
4ガラスガラス転移点過冷却液体結晶化融解
5結晶二次転移点液晶一次転移分解

解答解説

正答は4番です。

Aの状態はガラス状態です。結晶化度0%のPETは非晶質(アモルファス)で、室温ではガラス状態にあります。

Bのガラス転移点に到達すると、分子運動が増大し、ガラス状態から過冷却液体状態(C)に変化します。

Dの発熱ピークは結晶化によるものです。非晶質のPETが熱を得て分子が再配列し、結晶構造を形成する過程で熱を放出します。

Eの吸熱ピークは融解によるものです。形成された結晶が融けるときに熱を吸収します。

参考資料

示差走査熱量計(DSC)の原理と応用 | JAIMA 一般社団法人 日本分析機器工業会
示差走査熱量計(DSC)の原理と応用

www.jaima.or.jp

2024年3月9日 広告

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