平成29年度 問31

温度が一定に保たれた回分反応装置でA→Bの反応を行った。反応速度はA成分濃度の2乗に比例する。反応を開始してから1時間後に反応率が50%になった。反応率が75%となるのは、反応を開始してから何時間後か最も近いものはどれか。

  1. 1.5時間
  2. 2時間
  3. 3時間
  4. 4時間
  5. 5時間

解答解説

正答は3番です。

「反応速度はA成分濃度の2乗に比例する」とあるため、反応速度式dC/dt=-kC2(k:反応速度定数、t:時間)という微分方程式が立てられます。分離変数法で分解します。

まず変数Cとtで分けるためdC/C2=-kdtの形に変形します。

Cの関数として左辺を、tの関数として右辺をそれぞれ積分します。
∫(1/​C2)dC=∫−kdt
-1/C=-kt+定数

初期条件、t=0の時の濃度を C0とすると、-1/C0=-k × 0 + 定数となり、-1/C0=定数が成り立ちます。この式を元の積分後の式に代入します。
-1/C=-kt+(-1/C0)
1/C=kt+1/C0

Cは反応後の原料濃度ですので、50%反応した時はC=C0/2とみなせます。1時間後に反応率が50%になっていることから反応速度定数を求めます。
1/C=kt+1/C0
1/(C0/2)=k × 1+1/C0
2/C0=k+1/C0
k=1/C0

反応定数kが求まりましたので、75%反応した時の反応時間を考えます。C=C0/4です。
1/C=kt+1/C0
1/(C0/4)=(1/C0)t+1/C0
4/C0=t/C0 +1/C0
4=t+1
t= 3 時間

よって反応率が75%となるのは、反応を開始してから3時間後です。

2024年3月10日 広告

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